クロムハーツのレザーベストを、革を継ぎ足して大きくした一着の記録です。
ジャケットのサイズアップとは、足す場所が違います。ジャケットの話は前が閉まらない革ジャンは直せる?にまとめました。こちらはベストの話です。
お預かりした状態
黒のレザーベスト。前はファスナーで、左右に切りポケット。背中には大きなクロスのアップリケと、中央にコンチョがひとつ。

ご依頼は、身幅と着丈を大きくしたい、というものでした。たばこのにおいを取りたい、ということも、同封のメモに書かれていました。
どこを開くか
大きくするのだから、足りない側に革を足す。そう考えるのが自然です。
このベストでは、縫い目を二か所ほどきました。身幅のために一か所、着丈のためにもう一か所。
身幅は、脇で足す
身幅は、左右の脇の縫い目を解いて、そこに革を継ぎ足します。
革を入れるのは、前身頃と後ろ身頃の間。左右の脇に、同じだけ入れます。

袖がない分、脇の縫い目一本で決まる
ジャケットなら、脇の縫い目は袖の下までひと続きです。身幅を詰めれば袖幅も細くなり、足せば袖まわりも変わります。同じクロムハーツで身幅を詰めた一着の記録、脇とリブを、同じ幅で詰めるに、その話を書きました。
ベストには、袖がありません。だから身幅は、脇の縫い目一本で決まります。袖の都合を考えずに、胴だけを足せる。ベストのサイズアップが、ジャケットより素直に進む理由です。
脇に足した革は、アームホールまで通る

脇に足した革は、裾からアームホールの縁まで通ります。足した分だけ、アームホールも大きくなります。腕のつけ根がきつかった方には、そのまま効きます。ちょうどよかった方には、少しゆとりが出ます。ここは、先にお伝えしておきたいところです。
ジャケットでも同じことが起きます。ルイスレザーのサイズアップで、脇に足した革がアームホールを通る話を書いています。
着丈は、肩で足す
着丈は、裾ではなく肩で足します。
肩の縫い目を解いて革を足すと、その分だけ前と後ろの身頃が下がり、丈が長く仕上がります。ベストの着丈の直し方は、別の記事でもご説明しています。

裾には、足さない
丈が足りないなら、裾に足せばいい。そう思われるかもしれません。
けれど裾に革を継ぎ足すのは、見た目の上でお勧めできません。
ジャケットの着丈を足すのは大掛かりになりますが、ベストは肩で足せます。ここが、ジャケットと違うところです。
肩を開くと、一緒に動くもの
肩を開けば、襟ぐりとアームホールの縁も一緒に動きます。足した分だけ、アームホールも大きくなります。
裏地も、革と同じ分量を継ぎ足します。

お引き受けしなかったこと
メモには、コンチョを取り付けたい、というご希望もありました。
このコンチョは打ち込み式で、取り付けには専用の打ち具が要ります。工房にその道具がないため、取り付けはお引き受けせず、お預かりしたコンチョはベストと一緒にお返ししました。
においのこと
たばこのにおいは、革の専門の業者に脱臭とクリーニングを依頼しました。すっかり消えたとは申しません。お客様からは、だいぶ良くなった、とお言葉をいただいています。
仕上がり
脇と肩に革を継ぎ足して、もう一度、纏える形へ。

仕上がりは、メモに書かれていた寸法のとおりです。
| 部位 | 仕上がり |
|---|---|
| 身幅 | 56cm |
| 着丈 | 68cm |
継ぎ足した革は、工房の在庫から、シボと艶を現物に合わせて選んでいます。

以前お預かりした、別のベスト
肩で足した革が、前と後ろにどう分かれるか。以前お預かりした、別のクロムハーツのベストの写真で説明します。
着丈を3cm長くしたいときは、肩の上に6cm分の革を足します。足した革は肩の上で前と後ろに分かれ、それぞれ3cmずつ丈が長くなります。

ご相談ください
ベストの丈や身幅が足りないときは、まず、どこが足りないのかを見ます。肩から裾までが足りないのか。前を閉じたときに突っ張るのか。足りない場所によって、開く縫い目が変わります。
肩と脇が写った写真を添えて、ご相談ください。
ご自分の一着がどの症状にあたるか分からないときは、革ジャンのサイズが合わない|症状別に見る直せる範囲もどうぞ。
Customer's voice
お客様からのお声
バッチリです、匂い消えましたね、本当に本当にありがとうございます!!
サイズ感もいい感じです!
今回、カワリメイクさんに依頼して大満足でした!
お受け取りのあとに、いただいた言葉掲載の許可をいただいて、そのまま載せています
