ここに料金表はありません。金額そのものはサービス料金のページにまとめてあります。
このページに書くのは、その金額が何で動くかです。
「袖を詰めたい」と一言でいっても、当店の料金は同じになりません。どこから手を入れるか、ほかの部品を外す必要があるか、革を足すのか減らすのか。一着ごとに違うので、お見積もりは必ず現物を拝見してからご案内しています。それでも、動く理由には決まった型があります。5つの分かれ目として書きました。
写真を送っていただければ、この5つを見て概算をお伝えできます。
分かれ目① どこまで手を入れるか
いちばん大きく効くのが、作業の範囲です。同じ「裏地を替える」でも、全部替えるのか、傷んだところだけ替えるのかで変わります。
- 総裏地交換 ¥44,000〜
- 裏地交換(胴のみ) ¥19,800〜
- 裏地交換(袖のみ) ¥17,600〜
リブも同じです。
- リブ交換(袖・裾) ¥38,500〜
- リブ交換(袖のみ) ¥14,300〜
袖のリブだけが擦り切れていて、裾はまだ使える。そういう一着なら、袖だけで済みます。全部替えるのが丁寧、とは限りません。使えるところを残すほうが、元の一着に近い形で戻せることもあります。
分かれ目② どこから作業するか
これは料金表を見ただけでは分かりにくいところです。同じ「袖を短くする」でも、入口が3つあります。
- 袖丈詰め(袖口から) ¥25,300〜
- 袖丈詰め(肩口から) ¥13,200〜
- 袖丈詰め(ファスナーの長さを変えずに) ¥16,500〜
袖口から詰めるときは、袖口にあるものを一度外します。ファスナー、リブ、カフス。外して、詰めて、また付ける。その付け外しのぶんが金額に乗ります。
肩口から詰める場合は袖口に触りません。かわりに肩の側を解くことになります。どちらを選ぶかは、袖口の作りと、肩のラインをどう残したいかで決まります。
着丈も同じ考え方です。
- 着丈詰め ¥33,000〜
- 着丈詰め(フロントファスナーごと) ¥27,500〜
安いほうが簡単な作業、という意味ではありません。その一着でどちらが素直かは、現物を見ないと決められません。
分かれ目③ 革を足すか、減らすか
詰めるより、大きくするほうが金額は上がります。
- 身幅詰め ¥29,700〜
- サイズアップ(全体) ¥55,000〜
理由は単純で、サイズアップは革を継ぎ足す作業だからです。詰めるときは、いまある革の内側で寸法を変えられます。大きくするときは、足す革を探すところから始まります。元の一着に色と質感が合う革を用意して、継ぐ位置を決めて、縫い合わせる。
だから、大きくする方向のご相談では「足す革が見つかるかどうか」が先に来ます。ここが決まらないと金額もお出しできません。
部分的に足す作業も同じです。
- 腕まわり(袖幅)のサイズアップ ¥16,500〜
- アームホールの拡張 ¥26,400〜
分かれ目④ ほかの部分まで動くか
一か所を直すと、隣が一緒に動くことがあります。これが見積で「思ったより高い」と感じられやすいところなので、先に書いておきます。
胴を細くすると、腕も一緒に細くなります。脇の縫い目は、脇の下から袖口までひと続きだからです。胴だけを詰めて腕をそのままにする、ということはできません。だから当店では、この二つを分けずに扱っています。
- 身幅詰め ¥29,700〜
- 身幅〜袖幅詰め(胴と腕をあわせて細く) ¥19,800〜
- 袖幅(二の腕)詰め ¥13,200〜
裏地のある一着では、革の内側に届くために裏地を必要な分量解きます。革と裏地、同じ分量だけ断つことになるので、裏地の傷み具合によっては、そのついでに替えたほうがいい場合もあります。
分かれ目⑤ 革そのものの状態
最後は、作業内容ではなく革の側の話です。
同じ寸法直しでも、革が硬くなっている、縫い代が薄い、以前の直しの跡がある。そういう一着では、手当てが一つ増えます。傷んでいるところの補強は、範囲で変わります。
- 破れの補修(当て革・部分) ¥4,400〜
- 広範囲の当て革 ¥44,000〜(革の手配を含みます)
広い範囲になると、合う革を手配するところからになります。分かれ目③と同じ理由で、ここが金額を動かします。
結局、見積は何で決まるのか
5つを並べると、こうなります。
| 分かれ目 | 見るところ |
|---|---|
| ① 範囲 | 全部替えるのか、傷んだところだけか |
| ② 入口 | 袖口からか、肩口からか。付け外しが要るか |
| ③ 方向 | 詰めるのか、革を足して大きくするのか |
| ④ 波及 | 隣の部分まで一緒に動くか |
| ⑤ 状態 | 革そのものに手当てが要るか |
料金ページの金額は、すべて「〜」付きの目安です。革の状態・詰め幅・仕様・組み合わせで変わりますと添えてあるのは、この5つのことです。
写真を送るとき、写っているとよいもの
概算をお伝えするために見ているのは、次のあたりです。
- 全体(前と後ろ)──どの型の一着かで、②の入口が変わります
- 直したいところの寄り──①の範囲を決めます
- 袖口と裾──ファスナー・リブ・カフスの有無で②が変わります
- 裏地──④に関わります。めくって撮っていただけると確かです
- 傷んでいるところ──⑤です
この5枚があれば、たいていの作業は概算をお出しできます。逆に、この5つが分からないと金額が絞れません。
よくあるご質問
料金表の「〜」は、どのくらい上がることがありますか。
一着ごとに違うので、幅そのものはお答えできません。上がる理由は、この記事の5つのどれかです。写真を拝見できれば、どれに当たるかをお伝えできます。
二つの作業を一緒に頼むと安くなりますか。
組み合わせによります。同じところを解く作業どうしなら、解く手間が一度で済みます。離れた場所の作業なら、それぞれ分の手当てが必要です。
見積のあとで金額が変わることはありますか。
お預かりして分解したときに、外からは見えなかった傷みが出てくることがあります。その場合は作業を進める前にご連絡し、ご相談してから決めます。黙って進めることはありません。
