肩幅を詰めるか、身幅を詰めるか。どちらかを選ぶ話は、別の記事に書きました。
この一着では、両方を詰めます。そして、どこをどれだけ詰めるかは、お預かりした時点ですでに決まっていました。お客様が、ご希望のサイズそのものの一着を持ってきてくださったからです。
お預かりした状態
Lewis Leathers のダブルライダース。革はディア(鹿革)。内タグは AVIAKIT、サイズは46。
2026年6月、銀座のポップアップにお持ちいただきました。二度目のご依頼です。

「このサイズにしたい」を、一着で示していただいた
言葉でうかがうサイズのご相談には、どうしても幅が残ります。「もう少し細く」がどのくらいなのかは、着る方と、お預かりする側とで、必ず少しずれます。
この日は、そのずれがありませんでした。サンプルになる一着を、そのままお持ちいただいたからです。並べて測れば、目指す寸法は数字で確定します。
| 部位 | お預かりした一着 | サンプル |
|---|---|---|
| 肩幅 | 53 | 50 |
| 袖幅 | 20.5 | 20 |
| バスト(一周) | 126 | 121 |
| 裾回り(一周) | 117 | 110 |
見立ての中身は、ここから「どこを詰めるか」ではなく、この数字へどう到達させるかに変わります。
どう直すと決めたか
肩幅は、左右2cmずつ
53cmを、左右2cmずつ詰めます。仕上がりは49cm。
サンプルの肩幅は50cmですが、肩だけはそれより1cm小さくします。お客様のご意向です。サンプルは基準であって、すべての寸法をそこに合わせるという意味ではありません。
肩を詰めると、袖の付く位置が内側へ動きます。肩だけを見て決められる寸法でもありません。

肩幅を詰めるという直しの考え方そのものは、レザージャケットの肩幅詰めに書いています。
身幅は、上と下で詰め幅を変える
バストは左右2.5cmずつ(ぐるりで5cm)、裾は左右3.5cmずつ(ぐるりで7cm)。
同じ「身幅詰め」でも、上と下を同じだけ詰めるわけではありません。裾のほうを多く詰めることで、下に向かって絞られたラインになります。この一着で必要だったのは、ただ細くすることではなく、サンプルと同じ落ち方にすることでした。
袖幅は、数字で決めない
袖幅には、詰め幅を置いていません。バストを詰めた成り行きで、自然なラインに繋がるところで納めます。
決めていないのではなく、構造がそうなっています。身幅詰めは、袖幅(二の腕)詰めでもあります。脇の縫い目は脇の下で終わらず、袖の下までひと続きになっている。胴だけを詰めて、袖をそのまま残すということができません。

ウエストバンドは、後ろ中心で詰める
裾回りをぐるりで7cm詰めると、裾のウエストバンドが余ります。この始末は、後ろ中心で行います。
脇ではありません。新しく切り込みを入れずに済むからです。詰めた跡を、革の上に増やさない。仕上がってからでは見えなくなる判断ですが、どこで詰めるかは、そこで決めています。

選ばなかった方法
肩だけを詰めても、バストは126cmのまま残ります。身幅だけを詰めても、肩は53cmのまま残ります。サンプルの数字に届く道は、両方を詰めるほかにありませんでした。
袖丈には1.5cmの差がありますが、今回はお預かりしていません。合わせるべき寸法と、そのままでよい寸法を分けるのも、見立てのうちです。
ご自分の一着がどの症状にあたるか分からないときは、革ジャンのサイズが合わない|症状別に見る直せる範囲をご覧ください。
仕上がりまでの見通し
完了目標は2026年11月です。仕上がりましたら、この記事に「仕上がり」の章を追記します。
ご相談ください
肩まわりと身幅の両方が気になる一着をお持ちの方は、写真を添えてご相談ください。目指したいサイズの一着がお手元にあれば、その寸法をうかがえると、話がいちばん早く進みます。
