見頃と袖の関係性
ジャケットは、複数のパーツが組み合わさり構成されています。
一つ一つのパーツを順に縫い合わせていき、その最終工程として見頃と袖を縫い合わせます。
見頃と袖は、アームホール(袖ぐり)同士が重なり一周ぐるりと縫い合わせる為、それぞれの距離が合わないと袖が付きません。
今回は、袖のアームホールを3㎝お詰めした場合を例として考えていきたいと思います。
例:
見頃のアームホール…52㎝
袖のアームホール…53㎝
(見頃のアームホールと袖のアームホールは1㎝の差がありますが、袖付けの関係上、一般的に袖の方が大きく作られています)
肩口から3㎝の丈詰めをしたと仮定して 袖のアームホールは51㎝になるとします。
そうなると、丈詰め後は見頃のアームホール(52㎝)より袖のアームホール(51㎝)の方が小さくなります。
その差が開けば開くほど、見頃に袖が付きにくくなります。
数㎝の差でしたら、微調整して付け合わせることができます。
袖ぐりの構造をご理解いただくことで、少しでもリサイズの目安になれば嬉しいです。
着心地を左右する、袖の付け方
ここからは少し込み入った内容になる為、ご興味のある方のみご覧いただければと思います。
「腕が上がりづらい…」
ルイスレザーなど、タイト目に作られているライダースジャケットを着ている方から、よくこういったことを耳にします。
その理由のひとつとしては、パターン(型紙)上の問題で袖ぐりの斜面が急になっているということが言えます。
何のことかさっぱり分からないかと思いますので、まずはこちらの画像をご覧ください。
画像上部の点線は、カットする部分の印です。
断面になっている部分と比べて、こちらの点線が若干、緩やかな傾斜になっています。
そこが袖付けの極意になります。
敢えて緩やかな傾斜にすることより、出来上がって着用した際に腕が上がりやすくなるのです。
見頃と袖の合印(赤と黄色)をして、ポイントを合わせて縫い合わせます。
大きく詰めたい場合は、身幅を詰める
袖と見頃の関係をご理解いただければ、袖を詰めれば詰めるほど見頃と距離が合わなくなることがイメージできるかと思います。
袖丈を見頃と合わないくらいお詰めする場合は、身幅を詰めて調整する必要が出てきます。
身幅を詰めることを望まない場合は、肩口から袖丈を詰められる距離は3㎝ほどとなります。