
リサイズ相談室|失敗しない革ジャンの選び方
はじめに|革ジャン選び、サイズの視点を忘れずに
こんにちは、kawaremake(カワリメイク)です。
「革ジャンを買ったけれど、サイズがしっくりこない」
「古着で良いデザインを見つけたけど、着てみたら野暮ったい」
——そんなお悩みを、私たちは日々多くいただいています。
革ジャンはファッション性が高く、長く愛用できるアイテムですが、「サイズ選び」こそが失敗しやすいポイント。
特にリサイズを前提とした場合、どの部位が直せるか・直せないかを知っておくことがとても大切です。
今回は、リサイズ専門の視点から「失敗しない革ジャンの選び方」をご紹介します。
着丈(きたけ)|裾まわりの構造に注意
**着丈(きたけ)**とは、襟の付け根から裾までの長さのこと。全体のバランスやシルエットを大きく左右します。
✔ 着丈リサイズの可否は「裾の構造次第」

着丈詰めをご希望いただくことは多いのですが、実際にはリサイズが難しい構造も多く存在します。
以下のような仕様は、着丈詰めの際に大きな制限となります:
- フロントファスナー(ジッパー)が裾まで伸びている(下止めが裾ギリギリにある)
- リブやウエストバンドが裾に縫い込まれている(例:ルイスレザー「サイクロン」など)
- ホック・金具・スナップボタンなどが干渉している
- 裾の縫製が二重構造やパイピング処理されている
これらに該当する場合、着丈詰めを行うには:
- ファスナーの取り外しと再縫製
- リブやベルトパーツの解体・再構築
- 裏地や見返しの加工
……といった工程が必要となり、工数が大きく増えるほか、仕上がりの再現性にも限界があります。
▶ 一方で、ファスナーが裾より少し上で終わっていたり、裾構造がシンプルなタイプであれば、比較的スムーズな着丈詰めが可能です。
身幅(みはば)|革を足してサイズアップも可能(ただし構造次第)
**身幅(みはば)**とは、胴回りの幅のこと。着心地と見た目の印象に大きく関わるポイントです。
✔ 身幅は「詰め」だけでなく「出し」も可能です
- 詰め: 脇のラインからシェイプしてスッキリと
- 出し: 新たに革を足してサイズアップ(目安:左右合計で3〜6cm)
🧵 出しリサイズでは、既存の縫い代を広げるのではなく、脇や背中に別の革を追加して幅を広げます。元の革と質感・色味を近づけて、違和感のない仕上がりを目指します。
✂ 足し幅は「切り替え線の位置」によって変わります


🔽 出しやすい構造の例:
- 前身頃と後ろ身頃の切り替え線(シーム)が脇下(アームホールの最も低い位置)にある構造
→ この場合、脇から自然に革を足すことができ、左右合計で3〜6cm程度のサイズアップが可能です。
🔽 出しにくい構造の例:
- 切り替え線が前後にズレている構造(例:Schottのダブルライダースなど)
→ このタイプでは、革を足した部分とアームホールの接続部分に段差が生じやすく、袖の縫い付けに影響が出るおそれがあります。
💡 このような構造では、足し幅には明確な基準がなく、左右各2〜3cm程度が目安となることが多いですが、詳細は現物を確認しての判断となります。
📌 サイズアップをご希望の方へ
ご相談時には、脇線やアームホールまわり、裏地の状態が分かる写真をお送りいただけると、より正確なご案内が可能です。
袖丈・肩幅|対応可否に明確な境界線があります
袖丈(そでたけ)
袖丈が合っていないと、印象や動きやすさに大きく影響します。
- 詰め: 袖口の構造によりますが、2〜4cm程度まで調整可能
- 出し: 不可(革の継ぎ足しは非対応です)
ファスナー付きやカフス仕様の袖口では、構造を一度解体して再構築する必要があり、難易度が高くなります。
肩幅(かたはば)

肩幅の詰めは対応可能です。
- 最大:片側2cm、左右合計で4cm程度まで
- 肩線・袖ぐり・裏地の再調整が必要になります
🧩 注意点:
- 肩幅を詰めると、袖の付け位置が上がるため、実質的に袖丈が短くなります
- 袖丈の延長はできないため、袖丈が短めのジャケットには注意が必要です
リサイズ可否・目安表(実務ベース)
部位 | 詰め可能な目安 | 出し可能な目安 | 備考 |
---|---|---|---|
着丈 | 2〜3cm | 不可 | 裾構造による制限大(ファスナー・リブ・金具など) |
身幅 | 3〜6cm | 〜6cm(構造により変動) | 革を足して対応。切り替え線の位置が鍵 |
袖丈 | 2〜4cm | 不可 | 袖口構造により難易度変動あり |
肩幅 | 片側2cm(合計4cm) | 不可 | 詰めにより袖丈が短くなる。延長不可 |
革ジャン選びで確認すべきチェックポイント
リサイズを前提に革ジャンを選ぶ場合は、以下のポイントをチェックしておくと安心です。
✅ フロントファスナーの仕様
裾まで届いているファスナーは着丈詰めの大きな障害になります。
✅ 裾のディテール
リブ・ウエストバンド・ホック・ベルトなどがあると、着丈や身幅のリサイズに影響します。
✅ 裏地の構造
裏地が独立しているものは加工しやすく、仕上がりもきれいです。
✅ 革の柔らかさ
硬めの革は針穴が残りやすく、調整後に違和感が出る場合も。柔らかい革のほうがリサイズ向きです。
まとめ|「着たい気持ち」に応えるリサイズを
革ジャンは、ただの衣類ではなく「一緒に育てていく相棒」のような存在です。
デザインは気に入っているのにサイズが合わないという理由だけで、タンスにしまわれてしまうのはもったいないことです。
kawaremakeでは、その革ジャンがもう一度「着たい一着」になるよう、構造を見極めながら丁寧に対応させていただきます。
「この一着を、自分の体に合うように仕立て直したい」
「買う前に、直せるかどうか知りたい」
——そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。
関連商品
メールでのお問い合わせはこちらから
フォームからのお問い合わせも承っております。
内容を確認後、順次ご返信いたしますので、少しお時間をいただく場合がございます。
ご不明な点やご相談など、お気軽にご連絡ください。