kawaremake(カワリメイク)|レザージャケット、革ジャン、ライダースジャケット、レザーパンツのリメイク・修理専門店

ルイスレザーのPHANTOM(ファントム)モデルのライダースジャケット。フロントジップと肩のキルティングが特徴。

ルイスレザーのライダース、サイズ選びは慎重に|プロが教えるリサイズ対応例

2025年9月29日
Category:リサイズ

英国製ライダースジャケットの代表格である Lewis Leathers(ルイスレザーズ) は、完成されたデザインとタイトなシルエットが最大の魅力です。しかし、その“タイトさゆえの絶妙なフィット感”が仇となり、「もう少し袖が短ければ」「身幅がほんの少しだけ余っている」など、購入後に違和感を感じてリサイズの相談をされる方は少なくありません。

革ジャンは長く使い込むほど“あなた自身に馴染んでいく”特別な1着です。このブログでは、ルイスレザーを理想のフィット感で着るためのリサイズ手法、モデルごとの注意点や調整可能な範囲を、職人目線で詳しく解説します。


1. 多くの人が悩む「袖丈」の最適化

タイト設計ゆえの“長め設定”

ルイスレザーのライダースは、バイクを想定した前傾姿勢にも対応する設計で、袖丈が少し長めになっていることが多いのが特徴です。街着メインで使う場合、袖先が手の甲を覆ってしまい、袖の長さバランスが崩れてしまうことがあります。

腕先からの調整はリスクあり

しかし、袖口から単純に詰める方法は注意が必要です。ルイスレザーのジャケットには、ジップやチケットポケット(左袖)などのデザイン要素が袖口近くに施されているモデルが多いため、袖先だけを詰めてしまうと ライダースらしいバランスが崩れてしまうことがあります

肩口(袖山)からの詰めが基本アプローチ

そのため、おすすめの調整方法は、袖を本体から取り外し、肩口側(袖山側)から詰める技術的アプローチです。この方法を使えば、袖口部分のジッパー構造やデザインをそのまま活かしつつ、自然なラインに整えることが可能です。

CYCLONE 袖を外した後の状態
制作途中①|袖を外した後の状態です 袖丈を詰めるために、本体から袖を取り外したところです。これから袖山側を調整していきます。
袖パーツの解体後の状態
制作途中②|袖パーツの解体後 詰める長さに応じてパーツをカット。元のデザインを崩さないよう調整します。
リサイズ後のジャケット上部
After①|肩周りのディテールに違和感なく仕上がりました ジャケット上部のみにフォーカスした写真ですが、袖山や縫製ラインも自然な仕上がりで、リサイズによる違和感はありません。
背面の縫製ラインの様子
After③|背面の縫製も自然に再構築 解体時に出た縫製跡を処理し、縫い直しも目立たないよう丁寧に仕上げました。

詰める長さの目安と注意点

  • 肩口から詰める場合、基本は約3 cm以内を目安とします
  • 身幅に余裕があれば最大で 4 cm程度まで 対応可能なこともあります
  • ただし詰めすぎると、袖ぐり(アームホール)が上がりすぎて「肩が詰まる/腕を上げにくい」といった支障が出る可能性もあるため、慎重な判断が必要です
  • また、肩幅を詰める調整を同時に行うと、結果的に袖丈が短くなることもあるため、袖丈だけでなく肩幅との兼ね合いを見ながら調整するのが基本です

2. シルエットを左右する「身幅」の調整

ルイスレザーの魅力はタイトなシルエット。しかし体型やインナーの厚みによっては「余裕が欲しい」「少し絞りたい」といった悩みが生まれることがあります。

A. 身幅を詰めてラインを強調する

余裕が出てだぶつきが目立つようであれば、身幅を詰める方法があります。ただし、ジャケットの構造を理解して手を入れる場所を選ぶ必要があります。

Lewis Leathers Lightningの前身頃と後ろ身頃の切り替え部分。脇下の縫製ラインが後ろに寄っている構造。
Lewis Leathers|Lightningモデルも脇下の切り替えが後ろ寄りにあり、詰め幅の調整には慎重さが求められます。
  • 前見頃のパネルラインを活かしてシェイプする方法が主流
  • 脇線やアームホールに余計な加工を加えず、自然なラインを維持できるように調整
  • モデル別の注意点:
    • LIGHTNING
      ウエストバンドがない構造なので比較的リスクが少なく、前見頃の調整で対応しやすい
    • CYCLONE
      ウエストバンド+ベルト付き構造。詰め幅に応じてウエストバンド自体を短くしたり、ベルトループやベルト本体を移動・再加工する必要が出る可能性があります

B. 身幅を出して快適性を高める(サイズアップ)

前を閉じると胸が突っ張る、厚手のインナーが着られない、という悩みにはサイズアップ(身幅出し)が必要です。

出しの方法と目安

  • サイドパネル(脇下部)に革を足す方式が基本
  • 自然なシルエットを維持するため、片側あたり2 cm前後が目安
  • 大きく出す場合(たとえば一周で合計25 cm程度の余裕が必要な場合)は、 背中の中央に革を足す方法も選択肢
  • サイズアップ時は、身幅に合わせて二の腕(袖幅)も広げることが不可欠
  • ベルト付きモデル(CYCLONE / LIGHTNING など)では、サイズアップによって元のベルト長が足りなくなるため、ベルトの作り替えや再配置が必要になることもあります

3. 腕の可動域と着心地の確保

ルイスレザーはそのデザインゆえ、肩まわりがタイトに作られていることが多く、特にタイトな着用感の方やバイク用途の方は「腕を前に出しにくい」「肩に窮屈感がある」といった問題が生じやすいです。

アクションプリーツの導入

この問題を解決する有効な手法が アクションプリーツ(可動用プリーツ) の設置です。

ルイスレザージャケットに追加されたアクションプリーツ(脇下〜背中)
After|背中〜脇下にかけてアクションプリーツを追加
  • 脇下などの目立ちにくい箇所にプリーツを設けて、腕を前に伸ばした際の可動域を広げる
  • 見た目のタイト感を損なわずに、動きを補助できる
  • 特に街着でタイトなシルエットを維持したまま動きやすさを確保したい方に人気の調整手法です

最後に:失敗しないためのサイズ相談ポイント

ルイスレザーは設計段階で完成度の高いモデルですが、丁寧なリサイズによって“より自分らしく、快適に着る”1着へと昇華させることが可能です。サイズ選びで後悔しないよう、ぜひ以下の点を押さえてご相談いただければと思います。

サイズ調整のご相談時に伝えていただきたいこと

  1. 用途を明確に
     例:「バイクで使うのでやや長めがいい」「街着中心なので手首が見える程度がバランスがいい」など。使い方によって適正が変わります。
  2. 理想の着心地を言語化
     例:「前を閉じるとあと5 cm足りない」「袖をあと2 cm短くしたい」「厚手のニットを着たいがつっぱる」など、体感ベースの言葉でもかまいません。
  3. 写真付きでのご相談を
     着用状態がわかる写真(前後・横・腕を上げた状態など)を添えていただくと、より正確な寸法提案が可能です。

革ジャンは、長く使い込むほど味わい深く、唯一無二の存在になります。あなたの体型とスタイルに沿った調整を行い、**“快適に、そして美しく着るための一着”**へと仕上げましょう。

ご不明点やご相談など、どうぞお気軽にお問い合わせください。

関連商品

No data was found

ご相談はLINEまたはお問い合わせページから

写真を送っていただければ、よりスムーズにご案内できます。
どちらからでもお気軽にご相談ください。

メールでのお問い合わせはこちらから

フォームからのお問い合わせも承っております。
内容を確認後、順次ご返信いたしますので、少しお時間をいただく場合がございます。
ご不明な点やご相談など、お気軽にご連絡ください。

関連するカテゴリとブランド

Category:リサイズ
上部へスクロール