ご相談のきっかけ
今回は「袖丈が長く、どうしても全体のバランスが悪く見えてしまう」とご相談いただいた、レザージャケットの袖丈詰め(肩での詰め)事例をご紹介します。
ご依頼主さまは身長がやや小柄な男性で、体型に合った細身のスタイルを好まれる方でした。レザージャケット自体は気に入っているものの、袖丈が長くてだらしなく見えるとのことで「着たいけれど着られない状態」とのこと。特に気になったのは、袖先を詰めるのではなく、肩で調整したいというご要望でした。
レザージャケットは、袖口にジップやステッチ装飾があるため、袖先での詰めが難しいデザインも多いです。その場合、肩で袖丈を詰めるという選択肢がとても有効になります。
Before|肩幅・袖丈がややオーバー気味

お預かりしたジャケットは、いわゆるダブルライダースタイプのレザージャケット。ショルダーパッド(shoulder pad/肩パッド)は入っておらず、ナチュラルな肩のラインが魅力のデザインです。
しかしながら、袖丈が全体的に2〜3cm長く、肩線もご本人の肩位置より外側にずれていたため、シルエットがややルーズな印象に。とくに立ち姿では「肩が下がって見える」「袖が余っている」印象を受けやすくなります。
作業内容|肩で袖丈を詰めるリサイズ
今回のように、袖口にジップが付いている場合やデザイン性が高い場合は、袖先での調整が困難なため、肩で袖丈を詰める方法を採用しました。
肩で詰めるとは?
「肩で詰める」とは、ジャケットの肩線を解いて、肩側から袖を短くする方法です。この作業により、袖の長さを自然に短くするだけでなく、肩位置も正しい場所に修正できるため、上半身全体のシルエットが整うというメリットがあります。
作業工程のポイント
- 肩線を一度解体し、袖を本体から外す
- 袖山(そでやま)を数cm詰めて再接合
- 必要に応じて肩幅も微調整
- 袖の可動域や腕の自然な落ち感を意識して再縫製
この作業は、構造を大きく分解するため手間も時間もかかりますが、仕上がりが非常に自然で、「リサイズしたことがわからない仕上がり」が可能になります。
After|自然な袖丈とジャストな肩位置へ

仕上がりは、ご本人にも大変ご満足いただけました。
肩位置が正しくなったことで、見た目の印象が大きく変わり、スタイリッシュで締まったシルエットになりました。袖丈も手首にちょうど合っており、もたつきがなくスマートです。
お仕事にもプライベートにも着られるとのことで、「やっとこのジャケットを着られます」と嬉しいお言葉をいただきました。
袖丈を詰めるときの注意点
袖丈の詰めは「どこで詰めるか」が非常に重要です。
- 袖先で詰める:デザインがシンプルなもの、袖口に装飾がない場合に有効
- 肩で詰める:袖口にジップやボタンなどの装飾がある場合に有効
また、肩で詰める場合は、肩幅や袖の可動域、バランス全体を見ながら調整する必要がありますので、リサイズ経験の豊富な職人が対応することが前提となります。
類似事例のご紹介
当店ではこれまでにも、以下のような肩での袖丈詰め事例を承ってきました。
- フライトジャケット(MA-1)で袖リブを残したまま肩で調整
- バイカーズジャケットで袖先のファスナーを活かすため肩で詰め
- ミリタリー系レザーで厚手の裏地を考慮した微調整
それぞれのジャケットに合わせた最適な方法をご提案いたします。
まとめ|まずはお気軽にご相談ください
レザージャケットのリサイズは、ただ単に寸法を詰める作業ではなく、全体のシルエットを整えることが重要です。とくに袖丈が気になる場合、「肩で詰める」という方法を選ぶことで、見た目も着心地も格段に良くなることがあります。
「袖が長くて手が隠れてしまう」「ジャケットの肩位置が下がって見える」など、少しでも気になることがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
ご相談・お見積りは無料で承っております。