ポケット付近の身幅詰めをご検討の方へ

レザージャケットのシルエットを理想に近づけるため、身幅詰めは人気のある加工の一つです。中には「ポケットの位置まで細くしたい」とお考えの方もいらっしゃいます。
しかし、ポケット付近の加工には、見た目・強度・耐久性に関わる重要なポイントがあります。本記事では、なぜポケットから1〜2cmの距離を空ける必要があるのか、そして詰められる範囲の限界について、職人の立場からお伝えします。
身幅詰めはどこで行うのか
レザージャケットの身幅調整は、多くの場合「前身頃」と「脇身頃」の境目で行います。
この部分は構造的に縫い代があり、見た目を崩さずにシルエットを整えることができる最適な位置です。特にBUCO・Schott・Lewis Leathersといったライダースジャケットでは、縫製強度とデザインを両立するため、この位置での調整が基本となります。
ポケット付近に1〜2cmの距離が必要な理由
ポケットのすぐ近くまで詰めてしまうと、ジャケットの機能や寿命を損なう可能性があります。以下の理由から、1〜2cmの余裕が必須です。


- 縫い代の確保
縫い合わせには必ず縫い代が必要です。縫い代を削ってしまうと、縫い目がほつれやすくなり、強度が落ちます。 - 革の厚みに合わせた縫製
レザーは布に比べて厚みと硬さがあるため、縫製時の針通りや仕上がりに影響します。余裕を持たせることで、美しく均一な縫い目を保てます。 - 構造的制約
無理にポケットギリギリまで詰めると、全体の形崩れや革への負荷増加につながります。
ポケット位置まで細くしたい場合のデメリット
「もっと細くしてポケット位置まで詰めたい」というご要望は理解できますが、以下のデメリットがあります。
- デザインバランスが崩れる
ポケットが不自然に小さくなり、ジャケット全体の見た目に違和感が出る可能性があります。 - 使い勝手の低下
手が入りづらくなったり、収納力が落ちたりと、実用面で不便になります。 - 加工不可のケース
ファスナー付きや一体型のポケットは構造上の理由で加工ができません。
加工の可否は現物確認が重要
実際の作業風景はこちらからご覧いただけます。
縫い代の見極めやポケット付近の処理など、職人の手の運びをそのまま撮影しています。
ポケット付近の身幅詰めは、ジャケットの構造・ポケットの種類・革の状態によって可否が変わります。
無理な加工は耐久性やバランスを損なうだけでなく、結果的にジャケットの寿命を縮めることになりかねません。
当店では、お客様のご希望とジャケットの状態を丁寧に確認し、**「できるだけ細くしたい」と「使いやすさを残したい」**の両立を大切にしています。
まとめ
- ポケット付近は1〜2cmの余裕を持たせることが必須
- 無理な詰め加工はデザインと耐久性を損なう
- 加工可否はポケットの構造や革質によって変わる
- 最適な仕上がりのためには現物確認が欠かせない
ご相談はお気軽に
身幅詰めの可否や仕上がりイメージを知りたい方は、LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。写真をお送りいただければ、より具体的なご案内が可能です。
大切なレザージャケットを、これからも長く愛用できるよう全力でサポートいたします。