はじめに
レザージャケットのサイズ調整について、「腕だけが太くて気になる」「二の腕まわりのダブつきをスッキリさせたいけれど、身幅は変えたくない」というご相談をよくいただきます。
特に春先や秋口など、インナーが薄手になる季節には、袖まわりのゆとりが気になる方も多いのではないでしょうか。
では、実際に身幅を変えずに袖幅だけを詰めることはできるのでしょうか?
Q. 身幅はそのままで、袖幅だけを詰められる?
A. 技術的には一部可能ですが、構造上できないケースもあります。
レザージャケットは身頃(胴体部分)と袖が「アームホール(袖ぐり)」でつながっており、その寸法はパターン(設計図)に基づいて正確に作られています。

どのようなリサイズも、元のパターンに対して“無理”が生じる可能性があります。

そのため、私たちは単にサイズを詰めるのではなく、着心地や動きやすさを踏まえたうえで、最も自然で安全な方法をご提案しています。
袖幅だけを詰められない場合がある理由
アームホールとの長さが合わなくなる
- アームホールのサイズを変えずに袖幅だけを細くすると、本体側のアームホール周囲寸法と袖側の周囲寸法が合わなくなります。
- この場合、極端な話ですが、袖が物理的に付けられなくなるため、詰め作業自体ができません。
- 特にアームホールが大きめのジャケットでは、この寸法差が大きくなり、袖幅だけの調整は不可能なケースが多くなります。

自然な仕上がりにするための方法
身幅と袖幅を同時に調整
身幅と袖幅をバランス良く詰めることで、全体をワンサイズ下げたような自然な印象になります。
見た目のスッキリ感と着心地を両立できる、もっとも理想的な方法です。
ジャケットのタイプによる判断
- アメリカ製の旧タイプのようにアームホールが大きく野暮ったいシルエットは、身幅も含めて全体を直すほうがきれいに仕上がります。
- 現代的な細身シルエットなら、気になる部分だけを微調整してフィット感を出すことも可能です。
サイズ調整時のチェックポイント
インナーとの相性
冬場に厚手のセーターを着る予定がある場合、あえて少しゆとりを残して仕上げることもあります。
裏地の状態
袖まわりのもたつきは、革ではなく裏地の余りが原因の場合もあります。
裏地のみの調整で快適さが改善されるケースもあります。
まとめ
袖幅だけの調整は一見可能に思えますが、構造上の寸法差によって物理的に作業ができない場合があります。
また、どのようなリサイズも元のパターンへの影響がゼロではありません。
そのため、私たちは見た目だけでなく、着心地・動きやすさ・長く愛用できる仕上がりを意識してご提案しています。
「袖の中でもたつく」「どこを直したら良いか分からない」という場合は、ぜひ一度ご相談ください。
画像をお送りいただければ、よりスムーズにご案内が可能です。