ライダース特有のディテールが、リサイズのハードルに?
ライダースジャケットを愛用されている方の中には、こんなふうに感じたことがあるかもしれません。
- 「少し身幅や裾幅を詰めたいけれど、ベルトの部分がネックになりそう」
- 「脇のベルトが浮いてしまい、着たときに締まりがなくなった」
ライダースには、脇にベルトが付いているモデルが多く、これがデザイン性と機能性の両方を担っています。しかしその一方で、サイズ調整(リサイズ)時に影響を受けやすいポイントでもあります。
今回は、特に裾幅のリサイズをお考えの方に向けて、ベルトのバランスを崩さず、自然に仕上げる方法をご紹介します。
よくある問題:脇で詰めると、ベルトまわりに調整が必要になる
レザージャケットのサイズを詰める際、一般的には脇の縫い目から調整を行います。ただし、ライダースジャケットでは注意が必要です。
ライダース特有の構造とは?
多くのダブルライダースでは、裾の両脇に調整ベルトが縫い付けられており、脇の切替と一体になっています。
- 例)ルイスレザー(Lewis Leathers)「サイクロン」「ドミネーター」
- 例)アディクトクローズ(Addict Clothes)ダブルライダース各種
このようなモデルを脇から詰めてしまうと、ベルトの付け根に余りが出てしまい、追加でベルトの位置や長さを調整しないとバランスが崩れる可能性があります。
よくある変化・課題
- ベルトの根元に余りが出て、見た目のバランスが崩れる
- ベルトの角度が変わり、不自然な印象になる
- 裾まわりのシルエット全体が変わってしまう
スマートに詰める方法:「裾幅は後ろから詰める」
私たちがライダースの裾幅リサイズでおすすめしているのは、身幅は脇から、裾幅は後ろ中心から詰める方法です。
この方法のメリット
- ベルト位置に影響を与えず、自然に仕上がる
- 脇に新たな切り替えを加える必要がなく、デザインを崩さない
- 前・後ろともにスッキリとしたシルエットが得られる
実際の作業例
1. Before|詰める前の平置き画像(前)
身幅・裾ともにゆとりがあり、ベルトの位置はオリジナルのままです。

2. 加工中|後ろ中心でカットした革とベルト(前)
後ろ中心で革をカットした状態です。ベルトには手を加えず、縫製ラインが自然に整っています。

3. 加工中|後ろ中心でカットした革とベルト(後ろ)
後ろから見た縫製ラインのアップです。取り除いた革パーツと、縫製処理の様子がわかります。

4. 身幅調整後の革と本体
脇から身幅を詰めた際に取り除いた革パーツと本体を比較。ラインの変化がわかります。

5. After|リサイズ後の平置き画像(全体)
ベルトの位置を変えることなく、前後ともにバランスよく整った状態です。

この方法が向いているジャケットの例
ルイスレザー(Lewis Leathers)
「サイクロン」「ドミネーター」など、ベルトがデザインの一部になっているモデルでは、ベルトの構造を活かしたこの方法が有効です。
アディクトクローズ(Addict Clothes)
切替やパーツ配置に特徴のあるモデルが多いため、後ろ中心での調整によりシルエットが崩れにくくなります。
注意点:すべてのジャケットに使える方法ではありません
以下のようなケースでは、別の調整方法を検討する必要があります。
- 裾ベルトの縫い付け位置が後ろ身頃にかかっている場合
- 裏地の構造上、後ろからの詰めが難しい場合
- 革の硬化や劣化により、再縫製にリスクがある場合
事前にジャケットの構造を確認したうえで、適切な方法を選ぶことが重要です。
まとめ:見た目と機能性を両立するリサイズを
ライダースジャケットのリサイズでは、単にサイズを小さくするだけでなく、デザインやバランス、機能性を損なわないことが重要です。
脇ベルトのあるモデルには、後ろ中心から裾幅を調整する方法がとても有効です。無理にベルトを切ったり詰めたりせず、自然に仕上がる方法を選びましょう。
ご相談はお気軽にどうぞ
当店では、すべてのご相談に職人が直接対応しております。
- ブランド名
- モデル名
- ジャケット全体の写真
などを添えていただければ、構造を確認したうえで最適なご提案をさせていただきます。
「このライダース、ベルトがあるけど詰められる?」
「自然なシルエットになる?」
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