はじめに|ライダースの“動きにくさ”に心当たりは?
ライダースジャケットをご愛用のお客様から、「腕が上がりづらくて動きにくい」というご相談をよくいただきます。
実際、ライダースジャケットはその構造上、可動域が制限されやすいアイテムです。特にBUCO(ブコ)、Schott(ショット)、**Lewis Leathers(ルイスレザー)**といったバイカーズモデルでは、頑丈な革とタイトな設計が特徴で、バイクの前傾姿勢に合わせて作られているため、立った状態では腕が動かしづらいと感じる方が多いです。
また、ファッション向けのライダースジャケットであっても、腕を上げたり横に広げたりする動きには窮屈さが出やすいのが現実です。
今回は、そうした動きにくさを解消するための2つのリメイク方法をご紹介します。
現状の課題|なぜライダースは動かしづらいのか?

ライダースジャケットは、もともとタイトに設計されていることが多く、以下のような特徴があります:
- 前傾姿勢前提のパターン設計
- 厚くて硬めの革素材
- 脇下・二の腕の可動域が少ない
そのため、日常生活で腕を上げる・横に広げるといった自然な動作をすると、革が突っ張ってしまい、肩や二の腕に圧迫感が出やすくなります。
Before|腕を上げると、脇や肩まわりが突っ張る
方法1:脇下にアクションプリーツ(可動マチ)を追加する

可動域を確保するシンプルなリメイク
もっとも多くご依頼いただくのが、**アクションプリーツ(可動マチ)**の追加です。
これは脇下部分に楕円形の革パーツを縫い付けることで、腕の可動域を広げる仕様で、Schottなど一部モデルには標準装備されています。
作業内容
- 袖の一部をほどき、脇下に革の可動パーツを追加
- 身頃と袖の間に余裕を持たせる構造に変更
- 外見のシルエットを崩さず、腕の上げ下げをスムーズに
After|フィット感そのままに、可動域が改善
こんな方におすすめ
- 現在のサイズ感は気に入っているが、動きづらさだけ改善したい
- シルエットは変えたくないけれど、日常動作がストレスに感じる
※アクションプリーツが元から付いているモデルでも、革が硬くなって動かしづらくなった場合には、パーツの交換や再設計も可能です。
方法2:アームホールを広げて、腕まわりにゆとりを作る

タイトすぎるモデルには、構造からの見直しを
次にご紹介するのは、ジャケット全体を**「構造的に見直す」方法です。特にLewis Leathers(ルイスレザー)**などの非常にタイトなモデルでは、アームホール(袖ぐり)の調整が効果的です。
作業内容
- 両脇下からアームホール(袖ぐり)にかけて、同系色の革を追加し、袖まわりの可動域を拡張
- 袖の取りつけ角度やカーブを見直し、二の腕にかけて自然な形でゆとりを確保
- 必要に応じて、二の腕内側に三角マチを追加して、さらに可動性を高める
After|動かしやすくなったうえに、着心地にも余裕が
こんな方におすすめ
- ジャケットが全体的にタイトで、肩や二の腕に常に圧迫感を感じる
- 革が柔らかくなる前に、もう少し着心地を改善したい
- サイズ選びに失敗してしまったが、買い直すのはもったいない

まとめ|動きやすさを取り戻す実用的なリメイク
ライダースジャケットは、元来バイク用の高機能ウェアとして設計されており、その反面、可動域が限られているのが特徴です。
今回ご紹介した2つの方法は、動きやすさを損なうことなく、フィット感やシルエットをできるだけ維持しながら改善を図れるリメイクです。
方法 | 主な内容 | おすすめのケース |
---|---|---|
アクションプリーツ追加 | 脇下に革パーツを追加して可動域を広げる | フィット感を保ちつつ、動きだけ改善したい方 |
身幅調整+三角マチ追加 | 構造ごと見直し、全体のゆとりを作る | 肩や腕まわりが常に窮屈で動かしにくい方 |
当店では、ジャケットの状態・革質・縫製に応じて最適なご提案をしています。「動きにくさ」を感じた際は、無理に我慢せず、ぜひ一度ご相談ください。