
ご相談の背景
長く愛用しているレザージャケット。表革のエイジングは楽しめても、「裏地(ライニング)」の傷みは避けられないものです。
擦り切れや破れ、中綿の飛び出し、汗ジミ、ベタつきなどが生じると、着心地が悪くなるだけでなく、着用を控えてしまう原因にもなります。
最近では、「もっと暖かくしたい、そして裏地でも自分らしさや個性を出したい」というご相談が増えています。
そんなご要望にお応えする素材として注目されているのが、イギリス伝統のウール生地「ハリスツイード(Harris Tweed)」です。
本記事では、ハリスツイードの特徴と、実際に行った裏地交換の事例をご紹介します。
ダメージの状態
裏地の劣化は、見た目ではわかりにくいこともありますが、以下のような症状が現れていたら、交換を検討するタイミングかもしれません。
- 背中や袖部分の擦り切れ・破れ
- キルティング生地の中綿の飛び出し
- 汗ジミや変色による見た目の悪化
- ベタつきやニオイなど、加水分解による劣化
特に冬場は、ジャケットの中にしっかりとした裏地があるかどうかで、着心地や暖かさに大きな差が出ます。
修理内容と理由
ハリスツイードとは?
ハリスツイードは、スコットランド・アウター・ヘブリディーズ諸島で織られる、100%ピュアニューウールの手織りツイード生地です。
その歴史は古く、イギリスでは高級ジャケットやコート、バッグなどに使われてきた伝統素材であり、重厚で個性的な色柄が多いのも特徴です。
有名ブランド「Lewis Leathers(ルイスレザー)」などでも一部採用されており、レザーとの相性は抜群です。
ハリスツイードの素材特性
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 保温性・防寒性 | 目が詰まったウールでできており、冷気を遮断。冬でもしっかり暖かさを保ちます。 |
| 耐久性 | 摩耗に強く、長年使用できるため、裏地としても実用的です。 |
| クラシックな風合い | 色柄が豊富で、ジャケットの内側に個性を加えることができます。 |
| 経年変化 | 着用を重ねるほどに柔らかくなり、身体に馴染んでいきます。 |
※ハリスツイードは、本来は表地向きの厚手生地のため、多少のチクチク感がある場合があります。インナーを着ていればほとんど気にならない程度ですが、気になる方は事前にご相談ください。
※<kawaremake(カワリメイク)>では、ハリスツイードは常時ストックしておらず、お客様のご希望に応じて取り寄せ対応となります。納期にはゆとりを持ってご相談いただくのがおすすめです。
完成後の状態|3つの裏地交換事例
事例①|ハーレーダビッドソン・レザージャケット
Before|ポリエステルのキルティング裏地が全体的に劣化

After|ブルー×パープルのタータンチェック柄ハリスツイードで全面張り替え

- 効果:保温性が大幅にアップし、ジャケットに深みと高級感が加わりました。
- デザイン面:ブラウンレザーとツイードの相性が良く、裏地からさりげない個性が際立ちます。
- 付随作業:Harley-Davidsonのブランドタグは新しい裏地へ丁寧に移設。ご希望により、ハリスツイードの認証タグも内ポケット横に取り付けました。
事例②|シングルライダースジャケット
Before|擦れて薄くなったキルティング裏地

After|胴体部分にハリスツイード、袖部分にキュプラ素材を使用

- 効果:冬でも暖かく、落ち着いたチェック柄が大人のライダースにマッチ。
- 機能性:袖は滑りやすさを考慮して、キュプラ(静電気が起きにくく肌触りの良い裏地素材)を使用。
- ご要望対応:HARRIS TWEEDタグの追加も可能です。
事例③|GAP製レザーカーコート(ヴィンテージ)
Before|裏地が破れて中綿が飛び出し、着用に難ありの状態

After|裏地全面をハリスツイードで張り替え

- 効果:保温性・デザイン性が一気に向上し、ヴィンテージレザーと絶妙にマッチ。
- ポイント:ポケット部分は活かしつつ施工。ツイードタグはご希望に応じて取り付けました。
お手入れアドバイスと予防策
ハリスツイードを使った裏地は非常に丈夫ですが、以下の点に注意することでより長く快適に着用できます。
- オフシーズンは風通しの良い場所で保管し、湿気や虫害を防ぎましょう。
- インナーの着用を基本にすると、汗ジミや擦れを軽減できます。
- 定期的に風通しやブラッシングを行うと、裏地の風合いもより長持ちします。
まずはご相談ください
裏地は見えない部分だからこそ、着心地や使い心地に直結する大切な要素です。
ハリスツイードを使うことで、「もっと暖かく」「裏地でも個性を出したい」という想いをかたちにできます。
実際の裏地交換作業がどのように行われているのか、作業の様子を動画でご覧いただけます。
ジャケットの分解から裏地の縫製、再構築までの流れを、前編・後編の2本立てで詳しく解説しています。
動画をご覧いただくことで、「どんなふうに作業しているの?」「仕上がりの雰囲気は?」といった疑問もよりクリアになります。
まるで**“レザージャケットに暖炉のぬくもりを内蔵する”**ような裏地カスタム。
冬に向けてのアップデートとして、ぜひご検討ください。
※ハリスツイードやその他天然素材の裏地はお取り寄せ対応となるため、通常より納期がかかる場合がございます。早めのご相談をおすすめします。
「今のジャケットをもっと快適に、もっと自分らしく着たい」そんな方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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