ご相談の背景
今回は、BACKLASH(バックラッシュ)のレザージャケットの修理をご依頼いただきました。
長年着用されてきたことで、フロントファスナーまわりの革が裂けてしまったとのご相談です。
ファスナーまわりは、開け閉めのたびに引っ張りやねじれといった革への負荷が集中する部分で、特に裂けやすく、破れの進行もしやすい箇所です。
今回は「これからも長く着たいので、しっかり直したい」というご要望のもと、革パーツの部分的な交換修理を行いました。
ダメージの状態


フロントファスナーに沿って取り付けられた革の一部が、縫製のほどけや裂けによって下地が見える状態になっていました。
使用による経年変化に加え、元々薄手で柔らかい質感の革であったため、ダメージが集中してしまったと考えられます。
修理内容と理由


今回は修理方法として、**破れた箇所の革を新しい革に置き換える「部分的なパーツ交換」**を行いました。
強度面も考慮しながら、以下の手順で作業を進めています:
作業の流れ:
- ファスナーまわりの縫製を解体
壊れているパーツ周辺を解いて、ダメージ範囲を正確に確認します。 - パーツの型紙を取り直す
元のカーブや寸法に合わせて、新しい革用のパターン(型紙)を作成。 - 新しい革を選定・購入
BACKLASH特有のムラ感のある染色仕上げに合わせて、雰囲気が近い革を慎重に選びました。
革選びについての考え方

革には「牛革(カウレザー)」や「ラム革(ラムスキン)」などさまざまな種類がありますが、
今回のようなパーツ交換においては、革の種別に固執しすぎず、「質感」や「風合い」「色味の馴染み」を最優先に選ぶことが、自然な仕上がりへとつながります。
特にBACKLASHのようなブランドでは、染色・仕上げが独特で一点ごとに個体差があるため、見た目に違和感が出ないよう、微妙な色の深みや光沢感を重視しました。
完成後の状態

最終的には、自然な馴染みのある仕上がりに復元できました。
ファスナーまわりの強度も回復し、機能面・見た目ともに安心して着用できる状態です。
お手入れアドバイスや予防策
革は乾燥や摩擦によってダメージが進行しやすいため、定期的な保湿ケアがおすすめです。
特に今回のようなファスナーまわりは、開閉の動作によって負担がかかるため、使用後に軽くブラッシングしてあげるだけでも効果があります。
また、ファスナーを無理に引かず、ゆっくりと開閉することで余計なテンションを避けられます。
まずはご相談ください
「まだ着たいけれど、この破れが気になる」
「部分的に革を交換してでも長く着続けたい」
そんな思いに、私たちは一着ごとに丁寧に向き合っています。
革の種類や仕立てに合わせて、最適な修理方法をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。