「合皮の革ジャンの表面が剥がれてきた。これは直せるのか」──このご質問は少なくありません。先に結論をお伝えすると、剥がれてしまった合皮の表面を元通りに修復することはできません。ただし、打てる手が何もないわけではありません。
この記事では、合皮が剥がれる理由、本革との見分け方、そして合皮のジャケットに対してできる修理・できない修理を、職人の立場から解説します。
合皮(合成皮革)とは
合皮とは合成皮革のことで、ポリ塩化ビニールやポリウレタン樹脂などが使われた、ビニールやプラスチックに近い素材です。「PUレザー」「フェイクレザー」と呼ばれるものも合皮の一種です。
水を弾くため汚れが付きにくく、本革より軽くて手頃な価格で手に入るのが長所です。一方で、本革とは寿命の考え方が根本的に違う素材でもあります。
合皮がボロボロと剥がれる理由
合皮の剥がれの正体は、加水分解という現象です。空気中の水分と合皮の樹脂が結合して素材そのものが分解されていき、日常的に触れたり曲げ伸ばしたりする負荷で表面が剥がれ落ちてきます。
これは使い方の問題ではなく素材の性質なので、正直なところ防ぎようがありません。着ていなくても、クローゼットの中で進行します。
天然皮革(本革)が経年変化によって風合いを増していくのに対し、合皮には素材としての寿命があります。本革の劣化と対処については革ジャン・レザーの劣化は直せる?症状別の見極めと再生の考え方で解説しています。
本革か合皮かの見分け方
最近の合皮はとても精密に本革と似せて作られているため、新品の状態では正直なところ見分けがつきません。判断の手がかりは3つあります。
- 品質表示タグを見る ── 「合成皮革」「ポリウレタン」などの表記があれば合皮です
- 断面を見る ── 縫い代や端の断面に布地の層が見えるのは合皮の特徴です
- 裏側を見る ── 本革は裏がスエード状の繊維、合皮は布地になっています
判断がつかない場合は、写真を送っていただければこちらで確認します。
合皮の修理はどこまでできるか
表面の剥がれ・ボロボロ ── 元通りにはできません
剥がれた表面を綺麗に修復することはできません。これは技術の問題ではなく、素材そのものが分解されているためです。部分的に取り繕っても、周囲の剥離は進行していきます。
できる修理 ── 裏地・ファスナー交換、リサイズ
合皮のジャケットでも、裏地の張り替え、ファスナーの交換、サイズ直しはお受けできます。表面がまだ傷んでいない一着なら、こうした手当てで長く着続けられます。
本革への部分張り替え・補強という選択肢
kawaremakeでは、劣化した合皮のパーツを部分的に本革へ張り替える、合皮の上から本革を張り付けて縫い合わせるといった修理の実績があります。張り替えに使う革は、元の風合いにできる限り近い革質を選んで合わせます。
剥がれの進んだ衿や袖口などを部分的に交換・補強することで、一着の寿命を格段に延ばすことができます。作業の内容と料金は一着ごとの状態と範囲によって変わるため、お見積もりでのご案内となります。
迷ったら、写真でご相談ください
合皮の状態によっては、お取り扱いが困難と判断し、やむを得ずお断りすることもあります。それでも「無理かな?」と諾める前に、一度状態を見せていただきたいと思っています。
思い入れのある一着なら、部分的な本革への張り替えで、もう一度纏える形を探せるかもしれません。写真を送っていただければ状態の確認から始められますので、LINEでお気軽にご相談ください。
