
はじめに
今回は、ルイスレザー(Lewis Leathers)の人気モデル「サイクロン(Cyclone)」のリサイズをご紹介します。
サイクロンといえば、ライダースジャケットの中でも特に完成度の高い一着。無骨なシルエットやディテールに魅了されるファンも多く、長年愛用されている方も少なくありません。しかし、その一方で「サイズがしっくりこない」「自分の体型にフィットさせたい」といったご相談も多く寄せられます。
今回お預かりしたのは、肩幅・袖丈・身幅のバランスを整えたいというご依頼でした。特にルイスレザーのような完成されたジャケットに手を加える際は、元のデザインや構造を尊重しつつ、違和感のないよう慎重な調整が求められます。
この記事では、リサイズの過程と仕上がりについて詳しくご紹介していきます。
Before|全体的にオーバーサイズな印象
お預かりしたジャケットは、全体的にやや大きめのサイズ感でした。
- 肩幅:ご本人の肩幅よりも広く、着用時に肩先が落ちてしまう
- 袖丈:腕を下ろした状態で手の甲にかかるほど長い
- 身幅:とくにわき下から裾にかけて余りがあり、ボックス型のシルエットに
ルイスレザーは英国規格のサイズ感のため、日本人の体型と合わないケースもあります。とくにタイトフィットを求める方にとっては「肩・袖・身幅」の調整がポイントとなります。
作業内容|袖を外して身頃を分解、再構築へ
今回のリサイズでは、以下の工程を踏みました。
肩幅詰め
まずは肩幅の調整から。肩線を内側に詰めることで、肩先の位置を自然なラインに整えます。この作業では、袖を一度外す必要があります。
- 肩線の調整:ジャケットのシルエットを保つため、数ミリ単位で調整
- アームホールの再構築:袖の角度・付き位置も含めて再設計
袖丈詰め(肩側から)
一般的な袖丈詰めはカフス(袖口)側から行うことが多いですが、今回のサイクロンはジップディテールがあるため、肩側からの調整を選択しました。
- 袖山(肩に付く部分)をカット
- アームホールとの形状を合わせて再縫製
これにより、袖口の雰囲気やジップの長さを維持したまま、丈感だけを自然に調整できます。
身幅詰め(サイドシーム)
最後に、身頃のサイドシーム(脇の縫い目)を一度開き、前後バランスを見ながら幅を詰めていきます。
- わき下から裾にかけて、約3cm程度詰め
- ポケット位置やラインが不自然にならないよう配慮
- 裏地も併せて調整
After|すっきりとした印象に生まれ変わりました
リサイズ後は、全体のシルエットがタイトに整い、非常にスマートな印象になりました。
- 肩幅:ご本人の体型に自然に沿うラインに
- 袖丈:手首ジャストの仕上がりで、着姿が引き締まった印象に
- 身幅:余分なふくらみが消え、ライダース本来の美しさが際立つ
一見すると手を加えたことがわからないほど、自然なリサイズを目指しました。仕上がり後には「新品のようなフィット感」とご満足いただけました。
リサイズ時の注意点と参考事例
ルイスレザーのような完成されたジャケットに手を加える際は、以下の点に注意が必要です。
- 構造的な干渉:袖やポケットがデザインの一部になっているため、単純な詰め作業では不自然になりがち
- 革の厚み・伸び:再縫製時のテンションや、縫い直しによるステッチ跡への配慮
- ブランドタグや裏地処理:内部の縫製も見た目に影響するため丁寧に仕上げる必要あり
過去には、以下のようなリサイズ事例もあります:
- ライトニング(Lightning)モデルの身幅調整+ジップ交換
- ドミネーター(Dominator)の袖丈詰め(袖口から)
- カスタムメイドのレザージャケットに合わせた肩幅変更
まずはご相談ください
「せっかくのルイスレザー、もっと着やすくしたい」「サイズは合わないけれど手放したくない」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
カワリメイクでは、革ジャンの構造を熟知した職人が一つひとつ丁寧にリサイズを行っています。ご希望のシルエットや着心地、今後の活用方法まで、じっくりお伺いしながら対応いたします。
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。















