日本橋三越「匠の技」展
たくさんの出会いに感謝
予想を超える数のお客様が三越へご来店いただき、本当に感謝いたします。ありがとうございました。
直接お会いしてお話しできたことによって、少しでも「安心」「信頼」に結びつくことができていれば、本当に幸いです。
古き良き物を 現代にあったシルエットに
「長年しまってあるけど、愛着があって捨てられない」
「革がいいから、どうにかして着られるようにしてほしい」
今回、ご自身やご家族の方が20年30年前に着ていた物の野暮ったい部分をスッキリさせて、「今っぽくしてほしい」という方がとても多くご相談に来られました。
まさに80年代 90年代リバイバルブームの今
80年代〜90年代くらいまでのファッションがトレンドになっている今、オーバーサイズ気味に着たり、Tシャツ、スエットをタックインしたり、着こなし自体も多様化していますね。
ちょっと前までは考えられなかった「ダサかっこいい」のが今のブームですが、レザーウエアのデザインも当然、時代によって大きく変化しています。

80年代のいわゆるブル全盛期のレザーの特徴は、肩パットは当たり前で、身幅とアームホールがかなり広くとられている物が多いです。

フリンジが付いたライダースジャケットもあったりとクセと野暮ったさが強いので、そのまま現代で着るのには抵抗がある方も多いと思います。年数が進むとデザイン的には野暮ったさはなくっていきますが、90年代もまだシルエットが丸い革ジャンが多いです。
いつの時代も関係なく末長く、またTPOを気にせず気軽に着るには、やっぱりシンプルなデザインがいいですね。
今回、三越のイベントで一番多かったご相談内容としましては、身幅〜袖幅が太いということでした。

サイドポケットの位置や構造上の問題で、詰められる距離の限界がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
「昔の革」と「今の革」
革について何を良し悪しとするのかは、人それぞれ解釈に違いはありますが、「革本来の風合いを生かした革」と捉えるのであれば、一般的に昔の革ジャンは、「いい革」が使われていることが多いです。
それは、鞣し(なめし)の技術の発展にあると私は考えています。

鞣しについての細かい説明は割愛いたしますが、昔はいわゆる「タンニン鞣し」が一般的でした。手間暇がかかるタンニン鞣しは、革の個体差や、背の部分、腹の部分など場所によって見た目に差が出やすいですが、革本来の風合いは豊かです。
一方、現代ではコストと時間を抑えて量産できる「クロム鞣し」が主流になっています。個体差が少なく、仕上がりにムラがありません。
「タンニン鞣し」は天然素材を使用しているのに対し、「クロム鞣し」は主に化学薬品を使用しています。
このように、鞣し技術が進歩している為、レザーウエアでは20年、30年前に使用していた革と現代で使用している革は、根本的に違う場合が多いです。
お直ししてでも、永く着続けていく価値は、十分にあると思います。