クローゼットから出した革ジャンに、白いカビがふわりと付いていた──シーズン初めによくいただくご相談です。先にお伝えすると、表面に付いた初期の白カビであれば、自宅でのケアで落とせる場合がほとんどです。
この記事では、革ジャンにカビが生える理由、自宅でできるカビ取りの手順、そして再発を防ぐ保管のコツを、職人の立場から解説します。
なぜ革ジャンにカビが生えるのか
カビは「湿度・温度・栄養」の3つが揃うと繁殖します。革は湿気を吸いやすく、表面の油分や皮脂汚れがカビの栄養になるため、風通しの悪いクローゼットは革ジャンにとってカビの好条件が揃った場所です。
着ないまま長くしまい込んだ一着ほどカビが出やすいのは、このためです。カビ自体は革の寿命ではありませんが、放置すると革の劣化を早めます。革の劣化全般については革ジャン・レザーの劣化は直せる?症状別の見極めと再生の考え方で解説しています。
カビ取りを始める前の準備
作業の前に、以下を用意してください。
- 使い捨ての布(ウエス)またはタオル
- 除菌用アルコール(エタノール)または重曹
- 革専用のオイルやクリーム
- マスクと手袋(カビの胞子を吸い込まないために)
なお、革の種類によってはアルコールで色落ちや変質が起きる場合があります。必ず袖の内側などの目立たない部分でテストしてから、全体に使ってください。
自宅でできるカビ取り・4つの手順
カビの胞子を部屋に散らさないよう、作業は屋外やベランダで行うのが基本です。
1. カビを払い落とす
乾いた布で、表面のカビを優しく拭き取ります。強くこするとカビが革の奥へ入り込んでしまうため、押し付けないように。
2. アルコールまたは重曹水で除菌する
水で薄めたアルコール、または重曹水(水100mlに重曹小さじ1)を布に含ませ、カビのあった場所を叩くように拭き取ります。
3. 風通しの良い場所で陰干しする
水分が残っていると、再びカビの原因になります。直射日光を避け、風通しの良い場所で2〜3日かけてじっくり乾かしてください。
4. オイルで油分を補う
除菌と乾燥を終えた革は、油分が拜けた状態です。専用のオイルやクリームを塗り込み、柔軟性を取り戻させます。
自宅で落とせるカビ・難しいカビ
表面に付いた白いカビは、上の手順で落とせる場合がほとんどです。一方で、革にシミのように色が残ってしまったカビや、広範囲に根を張ったカビは、自宅のケアでは難しい状態です。無理にこすると革を傷め、かえって手当ての選択肢を狭めてしまいます。
「これは落ちるのか」と迷ったら、こすらずに一度手を止めて、状態を写真でご相談ください。
再発を防ぐ保管のコツ
カビは、環境が変わらなければ繰り返します。ポイントは3つです。
- ビニールカバーを使わない ── 湿気がこもる原因になります。通気性の良い不織布カバーへ
- クローゼットの換気と除湿 ── 定期的に扉を開けて空気を入れ替え、除湿剤を置く
- 時々、着る ── 外に出して風に当て、着て動かすことで湿気が飛び、カビの定着を防げます
シーズンオフのしまい方は革ジャンの保管方法|型崩れ・カビを防ぐしまい方と日常ケアで、濡れた後の正しい乾かし方は革ジャンは雨に濡れても大丈夫?で詳しく解説しています。
落ちないカビ、カビの跡が残った革はご相談ください
カビの跡がシミになった、カビ取りの後に風合いが乱れた、革が硬くなってしまった──そうした状態の手当ては、一着ずつ革の状態を見て判断します。
「もうダメかもしれない」と諾める前に、写真を送っていただければ状態の確認から始められます。LINEでお気軽にご相談ください。
